防災の日2013:湘南・鎌倉の関東大震災の火災・津波被害や対策


9月1日は防災の日。1923年(大正12年)9月1日に関東地方一帯を襲った関東大震災(大正関東地震)。震災を振り返り、危機意識を高めようと、1960年(昭和35年)、日本の記念日に制定されました。
湘南・鎌倉エリアに甚大な被害をもたらした関東大震災。ちょうど90年となる2013年、その状況や対策について、まとめました。

神奈川(湘南・鎌倉)の関東大震災と防災の日

関東大震災で当時木製だった桟橋(現在の弁天橋)が流され、1メートル隆起したという江ノ島

1923年(大正12年)9月1日11時58分。神奈川県に面する相模湾で発生した大地震。その規模はマグニチュード7.9。神奈川を中心に、東京・千葉・埼玉・茨城、さらに群馬・栃木・静岡・山梨などへ被害が及びました。
震度は5〜7を超え、推算では死者105,385人、全潰全焼流出家屋293,387軒。電気、水道、道路、鉄道等のライフラインにも甚大な被害をもたらしたとされます(内閣府中央防災会議より)。

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【火災被害】

最大の被害は火災。かまどや七輪など、薪や炭で炊事していた当時。1923年9月1日は土曜日。半日勤務の会社員が帰宅するため、より多くの家庭で昼食の支度に火が使用されていました。
そんな中、11時58分に起こった大地震。前日の8月31日に九州北西部の有明海に台風が上陸し、9月1日は午前中から強風に見舞われた関東地方。木造が中心だった家屋に、甚大な火災を巻き起こします。

神奈川(湘南・鎌倉)の関東大震災と防災の日

【家屋倒壊】

古い木造家屋を軒並み潰した関東大震災。特に鎌倉郡(当時)では全潰率60%、その他のエリアにも80%を超える被害をもたらしています。

神奈川(湘南・鎌倉)の関東大震災と防災の日

【津波】

湘南・鎌倉に臨む相模湾を震源に、マグニチュード7.9の規模で発生した関東大地震。三浦半島から伊豆半島まで、大きな被害が報告されています。

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90年を経て精査された結果、関東大震災の津波について、6〜7メートルとの高さであったとの研究発表が報告されました。

鎌倉、逗子襲った津波は6~7m 90年前の関東大震災(AP通信)

 1923年9月1日に起きた関東大震災で、神奈川・相模湾沿いの逗子、鎌倉、藤沢各市を襲った津波の高さがそれぞれ最大約6~7メートルだったことが8月31日までに分かった。県温泉地学研究所の研究者らが、国土地理院が公表した最新の標高データと、当時の被災住民の証言などを検証、特定した。
 90年前の震災では、建物倒壊と火災の焼失被害が圧倒的に大きかったことなどから、これまでの津波被害の調査は断片的で、研究者の記述も「20~30尺(約6~9メートル)」とおおざっぱな表記が多かったという。相模湾の津波被害を具体的に解明した研究として注目されそうだ。

海抜12〜13メートルに鎮座する鎌倉市長谷の「高徳院大仏」。関東大震災では津波が届かなかったものの、揺れで台座から前に35.8センチ動いたとされます。1498年(明応7年|室町時代)9月20日の明応地震では、津波が届き、奈良の「東大寺大仏」のように囲われていた大仏殿が流されたとの資料も。

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【デマや暴動】

災害時の悪しき風潮。関東大震災では、交通インフラと共に新聞やラジオ等の報道機関が麻痺したこともあり、火災について「朝鮮人が放火している」、さらには「井戸に毒を入れて回っている」とのデマが流布され、在日朝鮮人を虐待する事件が起きました。
これを反面教師にしたことも含め、1995年1月17日の阪神・淡路大震災、2011年3月11日の東日本大震災において、日本人の秩序ある行動は、世界から賞賛されることとなります。
【対策】

数十年から数百年のサイクルで相模湾を襲うとされる大震災。地震の周期についてはさまざまな見解がありますが、首都圏から東海地方に及ぶ「東海地震」を含め、「いつ起きてもおかしくない」との覚悟が必要です。まずは、市町村が発表している居住エリアの「ハザードマップ」で、危険区域や避難場所を確認すること。
また、以前は「まずは火の元を確認して消火」と、ガス栓などを切ることが第一とされましたが、現在は、安全装置により5分程度経で自動消化するコンロや暖房器具が一般的になったこともあり、身の安全を最大限に行動することが推奨されています(東京消防庁)。
さらに、飛び交う情報について正しい判断を行うこと。東日本大震災では、TwitterやFacebookにて有意義な情報交換がなされた裏で、「○○石油の火災で有害物質が雨に混じり降る」、さらには「○○災害者支援に募金協力を」などの詐欺まがいの情報が広まったのも事実です。
自分が小学生@藤沢市だったのは20年ほど前。9月1日には学校主導の「防災訓練」として、防災頭巾をかぶって地区ごとに集団帰宅訓練を行なっていましたが、思い返せば、内容も意識も現実感はほとんどなかったと思います。
しかし、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災を経て、改めて日本は活断層に囲まれた地震大国であること、さらに、家屋の老朽化や情報ツールの変化による新たな防災対策が必要なこと、が明らかになりました。
正しく行動すること、正しい情報を見極めること、それらを子供たちに正しく教えていくことが、今後必要な防災対策だと考えます。
■参考
防災情報のページ|関東大震災|内閣府
関東大震災の津波の状況等|茅ヶ崎市
地震に備えて|東京消防庁

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